タオルのデザインや設計などを考える中で一番の気がかりといえば、
「みなさまの手に渡った後も、長く愛用してもらえるモノになるかどうか」
店頭では気持ちの良いタオルだったのに、何度か洗濯してみたら、肌触りが全く変わってしまった……というお話をよく耳にすることがあります。
毎日使うものですし「絶対に劣化しないタオル」を作ることができないのですが、正しくお洗濯することでタオルの寿命を劇的に伸ばすことは出来ます。
◎脱水後の<パンパン>が重要!
<パンパン>とは……
脱水後、ぺったりと寝倒れてしまったパイルをしっかり立ち上げるため、パイルの目を「逆目」に持って、力強く「パンッ!パンッ!」と爽快な音を立てて、振りさばく行為のことを指します。
※「逆目に持つこと」「両手がちぎれるんじゃないかと思うくらい力強く振ること」
タオルのお洗濯においては、この工程がもっとも重要です!
※振り方、逆目については動画をご参照ください(音が出ますのでご注意ください)
特に「無撚糸」のような柔らかい糸を使ったタオルだと、どのくらい激しく情熱をもって<パンパン>できるかで、乾燥後のパイルのフワフワ具合に天と地ほどの差が生じます。
「ユサユサ」くらいの振り方では全くダメで、「パンッ!パンッ!」という破裂音があたりに鳴り響くくらいやっていただきたいのです。
その際、少しご注意いただきたいのがタオルを持つ位置。
あまり端っこすぎると繊維が伸びてしまうことがありますので、タオル本体(パイルのある場所)を持って振りさばいてくださいね。
◎ 洗濯機の種類について
家庭用洗濯機の種類は大きく分けて3つありますが、それぞれに良い点と劣る点があります。
ここでは「タオルのお洗濯に向いたもの」をピックアップしてご紹介。
1:縦型全自動洗濯機
洗濯~すすぎ~脱水まで全自動で行う洗濯機。
たっぷりの渦巻き状の水流で汚れを落とす「かくはん洗い」方式で、パイルに優しく汚れ落ちも良いです。
2:ドラム式洗濯機(ヒーター乾燥型 or ヒートポンプ乾燥型)
横向きのドラム槽ごと回転し、少ない水で衣類を上から下にたたき落として洗う「たたき洗い」方式のため、パイルの傷みは否めません。
また、2種類ある乾燥方法それぞれによっても劣化の進度が異なります。
▶ヒーター式
ドライヤーのように熱風を当てて乾燥させるため、生地が傷みやすい。
▶ヒートポンプ式
乾燥した空気を当てて乾燥させるため、傷みや縮みが少ない。
3:二層式洗濯機
アナログ感漂う昔なつかしい佇まいで、洗い~すすぎ~柔軟剤〜脱水までを全て手動で行う洗濯機。
面倒ではありますが、その反面、水量、時間、すすぎ回数などの綿密なカスタマイズが可能なので、上級者向けの洗濯機とも言われています。
洗濯方式としては「縦型全自動洗濯機」と同様、パイルに優しい仕上がりになります。
◎乾かし方について
1:日陰干し
綿、麻、シルクなどの天然繊維は、紫外線のダメージを受けやすいため、天日干しは絶対にNO! ということで、<日陰干し(部屋干しではないですよ)>をオススメします。
2:ドラム式乾燥
家庭用と業務用(コインランドリー)の効果の違いは、「ゆったりとしたドラム空間で、贅沢に、ユラユラとタオルが泳ぐように乾かすことができるか」という点です。
窮屈に詰め込まれた小さな家庭用のドラム内で乾燥をするのと違って、パイルの1本1本が見事にムキムキー!っと立ち上がり、驚くほどボリュームアップします。
少々くたびれてしまった古いタオルも思った以上に復活しますので、ぜひお試しください。
また、家庭用のドラム乾燥の場合は、できるだけ洗濯物を詰め込みすぎないように、ゆとりをもって乾燥するのがコツです。
【 縦型洗濯機の場合のオススメ 】
ドラム乾燥は基本的に高温の熱風を長時間当てて乾燥しますので、毎日くりかえすと、生地の劣化が早くなってしまいます。
そのため、縦型全自動洗濯機をご使用の場合は、下記の組み合わせもおすすめします。
▶通常:脱水→パンパン→日陰干し
▶2〜3週間に一度:脱水→パンパン→大型ドラム乾燥(コインランドリー)
【 ドラム式の場合のオススメ 】
ドラム式洗濯機をお使いの場合は、日陰干しではなく、そのまま乾燥まで行っていただいたほうが良さそうです。
というのも、ドラム式で「脱水→パンパン→日陰干し」や、「脱水→ドラムで弱乾燥→パンパン→日陰干し」など、弱乾燥の時間検証なども含めていろいろ試してみたのですが、「たたき洗い」の宿命なのか、どんなにしっかりと「パンッ!パンッ!」と振りさばいても、なかなかパイルが立ち上がってくれません……。
生地の傷みは少々早くなってしまいますが、毎日乾燥までかけていただいたほうが、フワフワを感じられるかと思います。
今後の洗濯機や乾燥機の進化などによって、オススメ方法も変化するかと思います。
またこれからも洗濯洗剤や柔軟剤の組み合わせ、使い方、種類の検証なども行っていますので、より良い新たな方法がみつかりましたら、また発信していきます!
0コメント