【 製版・プリントを学ぶ - その2 - 】

 最初にお伺いしたのは製版の「藤工芸」さんです。

前回の記事で、 ①画像アレンジ→ ②製版原画作成→ ③色分解トレース→ ④製版作成 
ここまでが製版屋さんの作業と書きましたが、④にあたる部分がたいへん奥深い工程でしたので、④について、とくに細かくご紹介したいと思います。 


 ◎シルクスクリーン製版工程


まず「紗張り(シャばり)」を見せていただきました。

紗張りとは、製版における最初の重要な作業で、アルミ枠にスクリーン(=アミのようなシート)を張る工程です。「紗」にはいくつかの種類があり、糸の太さや、糸と糸の間(メッシュ)の広さにさまざまなバリエーションがあります。そのなかから、プリント図案の内容によって、最適なメッシュを選択します。 

ちなみに型枠は1色につき1枚が必要になります。 

2色使ったデザインなら2枚の紗を張ります。多色になれば、その色数分の紗を張ることになります。また、写真を印刷するときは、紙などのカラー印刷と同じように、C、M、Y、Kの4版が必要になります。 タオルへの製版印刷でも、まるでインクジェットのような写真の再現が可能だということにも驚きました。 


 さて、話は紗張りに戻ります。
 精度の高い版をつくるには、紗を張るテンション(=張る力)を均一にすることがとても重要だそうです。 この作業の完成度が低いと、印刷不良を起こしたり、印刷の精度が悪くなり、型が合わなくなります。
紗の上に計測器「テンションメーター」を重りのように乗せてテンションを測定します。メーターが沈んだ数値が、張り(=テンション)の強さを表しているそうです。
ここまでの手作業が、大変な技術と経験を要する部分で、仕上がりの良し悪しを大きく左右するとのことでした。


紗張りされた版は、しっかり洗浄したあと、紫外線で硬化する感光剤を塗布し、乾燥。 乾いたら「ダイレクト製版機」にかけます。


ダイレクト製版機とは、紫外線をドット単位で直接照射して製版できる機械のこと。 パソコンからの印刷データを自動で焼き付けて製版してくれます。

ひと昔前のように版下のポジフィルムを作成する必要がないため、ダイレクト製版を採用して以降、製版時間が大幅に短縮されたそう。藤工芸さんでは、2005年8月から完全にダイレクト製版へ移行したとのことです。 


製版された「版」は、感光剤を固着させる工程「露光」を経て、ふたたび水で洗浄されます。 この水洗いによって、紫外線が当たらず硬化しなかった部分(デザイン部分)の感光材だけが洗い流され、メッシュが露出します。
印刷工程の際には、このメッシュの穴からインクが充填され、対象物(伊織でいえばタオルになりますね)に印刷が施される仕組みとなります。 


最後の工程「後処理」では、プリント時の摩擦などで紗が切れたりしないよう、型枠に補強紙を張ったり、樹脂で補強をしたり、ライトテーブルの上でピンホールの検査・補修などをします。

そして、自然乾燥をさせたあと、印刷工場へ納品されます。

ちなみに冒頭から出てくる型枠はさまざまな大きさがありましたが、これは製版屋さんが持っているものではなく、製版の依頼が来るたびに印刷工場から納品されるのだそう。

広い広い紗張り部屋の半分以上が、印刷屋さんから納品された型枠でひしめき合っています。
どいつもこいつも、これまで何度も紗張りをされては剥がされることを繰り返されて、ズタボロにかっこいい状態です…!


 この次は、完成した製版が納品される「印刷工場」についてのレポートを書きたいのですが、興奮のあまり、またまた長くなってしまったので、続きはその3で……。 

松浦

タオルとくらす研究室

「タオルからはじまる、豊かなくらし。」をコンセプトに、全国23店舗を展開しているタオル専門店「伊織」は、日々のくらしに寄り添うタオルについて、より学び、考え、新たな可能性を発信することを目的とした「タオルとくらす研究室」を開設しました。 「タオルのはなしは 暮らしのはなし」をテーマに、世界の繊維や織物をヒントにしながら、暮らしにまつわる新たな提案を生み出す活動をしています。